2002年8月8日
水着のデザインが繊維の性能に大きく左右されるということは、言われてみれば当たり前だけれども、今まで気づかなかったことだ。繊維技術はもはや伸縮性や透水性といった直感的議論の枠組みを超え、身体運動学から流体力学までをも含む広大な研究領域になっていることを知った。陸上選手のシューズにしてもそうだが、スポーツが技術開発を後押しする力は我々の想像以上に強いのかもしれない。
Prius はレンタカーで実際に乗ったことがある。まず何よりも、一般的なガソリンエンジン・オートマチック車の運転感覚を巧みに再現していることに感心させられた。発進時はアイドリングストップ状態だが、ブレーキを放すとモーターにより擬似的なクリープ現象が作り出され、車が動き出す。その間にエンジンを始動し、徐々に動力源が切り替わっていく。この過程はきわめてスムーズで振動も少なく、乗員に何ら違和感を感じさせない。ブレーキを踏むとかすかに回生ブレーキのモーター音が聞こえてくる。減速時は油圧と回生のミックスが難しいようで、停止直前のコントロールが難しいと感じた。講義では具体的には触れられなかったが、こうしたマンマシンインターフェイスのチューニングにも多大な苦労があったことは想像に難くない。できればこのへんの、純粋に技術的な話をもっと聞きたかった。
開発のプロセスに関して言えば、我々がモーターショーで目にする新技術はおおかた実用化の目途がついたものばかりであって、そのとき企業の技術陣はすでに次の段階へ進んでいるという話を聞き、少々ショックを受けた。
2002年8月8日
家電製品を買い換えようとする消費者を対象に、販売価格だけでなくランニングコストや環境負荷の観点から、商品選びに役立つ情報を提供するウェブサイトの構築・運営を提案する。
エアコン・冷蔵庫・洗濯機をはじめとする白物家電は現在ほぼすべての家庭に普及し、その売り上げはほとんどが買い換え需要に支えられている。近年はパワーエレクトロニクスの発達や環境への関心の高まりから省エネ化が急速に進み、古い機種を使い続けるよりも新しい機種に買い換えた方がランニングコストが安くなることも珍しくない。小売店でもこの点に注目し、たとえばエアコン売り場では商品価格のほかに「年間電気代○○円」といった表示が目に付くようになった。また、先頃施行された家電リサイクル法により、大型家電の処分には販売価格とは別に一定の費用を支払わなければならなくなった。これはすなわち、従来目先の販売価格に左右されがちだった消費者の目が肥え、ランニングコストや環境コストをも意識した購買形態が定着しはじめたことを意味する。
しかしながら、小売店の目標は第一に「商品を売ること」であり、買い換えによって消費者が本当に得をするのか、あるいは何年で元が取れるのかといった個別の具体的な情報は提供されない。高度成長を終え成熟の時代に入った今、「商品を買わない」という選択肢を含めた本当に賢い買い物をしたい消費者が増えている一方で、その的確な判断に必要な情報を集めることは意外と難しいのが実情である。このギャップを埋めて消費者の賢い買い物を支援するために、次のような新しいサービスを提案する。
対象 | 家電製品の買い換えを検討している消費者 |
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内容 | ユーザーに次の情報を提供する
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形態 | WWW 上でインタラクティブに情報を提供する |
運営 | 小売店およびメーカーからの広告によって収入を得る |
このサービスは何も知らないユーザーに初歩的な案内をするものではなく、すでに候補機種が絞り込まれているユーザーが購入に踏み切るまでの最終的な意思決定を支援するものである。
サービスの核となるシステムは次のような入力と出力を持つプログラムである。
エアコンを例とした入力画面および出力されるグラフのイメージを図1・図2に示す。
図 1 入力画面イメージ
図 2 出力画面イメージ
このシステムを実現するためには次のような構造を持つデータベースが必要となる。
分類, メーカー, 型番, 製造時期, 消費電力量, 製造時の環境負荷, 廃棄時の環境負荷, 運用中の環境負荷 |
機種, 取扱販売店, 販売価格 |
店名, 場所, 広告文 |
機種テーブルの項目については各メーカーに資料の提供を求める。資料がない場合は次のような処置が考えられる。
価格テーブルと販売店テーブルの項目については各提携販売店から情報を提供してもらう。検索結果としてユーザーの居住地域内で価格の安い販売店を提示する。
事業の規模は、当初ボランティアベースの小さなものから始め、将来的には1日数千ビジター程度までを想定する。全国規模の有名サイトになることを目指すよりは、むしろ地域密着型のアットホームなサイトを目指したい。大手量販店の進出にあえぐ町の電気屋さんにも積極的に参加を呼びかける。人員はエンジニア2人と渉外担当3人程度から始める。収益をあげるための事業ではないから、サーバーの維持費とエンジニアの給与が賄えるだけの収入があればよい。収入源としてメーカーおよび販売店の広告を掲載するほか、ユーザーに紹介した販売店からはバックマージンを徴収する。
あるいは、独自のサイト運営にこだわらず、既存の価格情報サイトにデータベースを提供する事業形態(バックエンドサービス)も考えられる。この場合は自前で提携先を募集する必要はない。収入源として提供先サイトから情報料を徴収する。
どちらの事業形態を採るかについてはさらなる検討を要する。立ち上げにかかる費用は前者で110万円、後者で60万円程度を見込む。事務所や作業用パソコン等は当面、メンバーの私有財産を活用する。
ホスティングサービスを利用する。1か月1万円程度で借りることができる。当初は1台で十分だが、負荷分散や障害時の運用を考え、将来的には異なる2社のサーバーを借りてミラーリングすることも視野に入れる。
各メーカーにデータの提供を求め、前述のデータベースを構築する。データベースソフトウェアには、フリーかつ安定・高速な Postgre SQL を用いるのがよいだろう。
ユーザーとデータベースとのインターフェイスとなるプログラムを製作する。 Postgre SQL との連携を考えると、開発言語は PHP が最適と思われる。
価格情報を提供してもらう提携販売店を募集する。メールや郵便のほか、自らの足で電気屋さんを巡るのも効果的だろう。
メーカーおよび販売店に呼びかけて広告を募集する。
サイトは1日1回の更新を基本とする。提携販売店から価格情報を随時送信してもらい、次回更新時に自動的に掲載するようなバックヤードシステムがあれば、手作業の労力を他へ振り向けることができる。広告は専用のスクリプトを使って随時切り替える。広告料に応じて掲載頻度を変えるなど、柔軟な運用が可能である。
資金繰り等の子細なことについては、事業の目途が立った段階でもう一度詳細に検討する。